バンパイア君は私に甘々でメロメロ
黒川は笑ったまま目を細めた。

「……仕返し、上手いですね。先輩」

「そっちが、からかうからでしょ」

すみれがそっぽを向くと、黒川は小さくため息をついた。

「……これ以上やると、店で色々アウトなんで」

「は?」

「今は我慢します」

そう言うと黒川は、さっきまでの甘い熱を封印したように、さっと表情を戻した。

「ほら、食事しましょ。せっかく頼んだんですから」

「え、えぇ……」

料理を食べ進める間、黒川はあえて普通の話題ばかりを振ってきた。
昨日のことも、倉庫でのことも、一切口に出さない。
けれど、何気ない会話の合間にも、黒川の視線は時折すみれの唇や膝の絆創膏へと向かっていて、すみれはそのたびに心臓が大きく跳ねた。

そして――食事を終え、二人は並んで夜道を歩きだした。
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