バンパイア君は私に甘々でメロメロ
黒川の顔がさらに近づく。
その眉間にはうっすら皺が寄っていて、口元も硬い。
(……拗ねてる?)
不意にすみれは、胸の奥がくすぐったくなった。
さっきまであれほど必死に黒川を避けていたのに。
目の前でふてくされたように睨む黒川が、なんだか無性に可愛く思えた。
「……ふふっ」
「……何がおかしいんですか」
すみれは慌てて笑いを噛み殺しながら、手を振った。
「ご、ごめん!だって、黒川くん、今すごい顔してるから……」
「どんな顔ですか」
「拗ねてるみたいで……かわいいなーって思っちゃって」
黒川は一瞬、目を見開き、それからますます不機嫌そうに目を細めた。
「……先輩、なんで、それ言うんですか」
「なんでよ?」
「俺、ますます勘違いするんで」
すみれが笑いを止められずにいると、黒川はぐいっと顔を近づけた。
「笑わないでください」
真剣な瞳がすみれを捉える。
さっきまで「後輩」だったはずの黒川が、また「男」の顔をする。
すみれは一瞬たじろいだが、それでもまだ頬が緩む。
「だって……やっぱり、拗ねてる顔かわいいんだもん」
黒川の眉がぴくりと動いた。
「先輩、そうやって俺のこと子ども扱いするけど」
「え?」
「俺、先輩の全部知ってますから」
「……は?」
「例えば、駅から家までのルートとか。夜、髪下ろして寝るとか。アイスはバニラ派だとか」
「ちょ、どこで見てんのよ!!」
「それに――」
黒川が、すみれの耳元へ顔を寄せる。
低い声が、熱く囁く。
「先輩が俺に触られると、息止めるとか」
「~~~~!!」
心臓が爆発しそうになる。
顔が一気に赤くなったすみれを、黒川は楽しそうに見つめた。
「俺……先輩にだけ、こういうことしたいんで」
黒川はすみれの髪をそっと指先でつまむと、さらりと撫でる。
目が絡むその瞬間、まるでキスするかのように顔を近づけ――けれど、ギリギリで止まった。
「……仕事戻ります」
くるりと背を向ける黒川。
何事もなかったかのように歩き出しながら、小さく言い残す。
「拗ねてないですから」
ぽかんと立ち尽くすすみれの耳には、まだ黒川の低い囁きが残っていた。
頬が熱い。
鼓動が、うるさすぎて仕方なかった。
その眉間にはうっすら皺が寄っていて、口元も硬い。
(……拗ねてる?)
不意にすみれは、胸の奥がくすぐったくなった。
さっきまであれほど必死に黒川を避けていたのに。
目の前でふてくされたように睨む黒川が、なんだか無性に可愛く思えた。
「……ふふっ」
「……何がおかしいんですか」
すみれは慌てて笑いを噛み殺しながら、手を振った。
「ご、ごめん!だって、黒川くん、今すごい顔してるから……」
「どんな顔ですか」
「拗ねてるみたいで……かわいいなーって思っちゃって」
黒川は一瞬、目を見開き、それからますます不機嫌そうに目を細めた。
「……先輩、なんで、それ言うんですか」
「なんでよ?」
「俺、ますます勘違いするんで」
すみれが笑いを止められずにいると、黒川はぐいっと顔を近づけた。
「笑わないでください」
真剣な瞳がすみれを捉える。
さっきまで「後輩」だったはずの黒川が、また「男」の顔をする。
すみれは一瞬たじろいだが、それでもまだ頬が緩む。
「だって……やっぱり、拗ねてる顔かわいいんだもん」
黒川の眉がぴくりと動いた。
「先輩、そうやって俺のこと子ども扱いするけど」
「え?」
「俺、先輩の全部知ってますから」
「……は?」
「例えば、駅から家までのルートとか。夜、髪下ろして寝るとか。アイスはバニラ派だとか」
「ちょ、どこで見てんのよ!!」
「それに――」
黒川が、すみれの耳元へ顔を寄せる。
低い声が、熱く囁く。
「先輩が俺に触られると、息止めるとか」
「~~~~!!」
心臓が爆発しそうになる。
顔が一気に赤くなったすみれを、黒川は楽しそうに見つめた。
「俺……先輩にだけ、こういうことしたいんで」
黒川はすみれの髪をそっと指先でつまむと、さらりと撫でる。
目が絡むその瞬間、まるでキスするかのように顔を近づけ――けれど、ギリギリで止まった。
「……仕事戻ります」
くるりと背を向ける黒川。
何事もなかったかのように歩き出しながら、小さく言い残す。
「拗ねてないですから」
ぽかんと立ち尽くすすみれの耳には、まだ黒川の低い囁きが残っていた。
頬が熱い。
鼓動が、うるさすぎて仕方なかった。