バンパイア君は私に甘々でメロメロ
黒川は赤くなった顔を伏せたまま、しばらく何も言わなかった。

けれど、やがて決心したように、小さく息を吐き出す。

「……それが…」

「それが?」

すみれが身を乗り出すと、黒川はますます目を泳がせた。

「……俺が欲するのは、要は……体液なんです」

「……たいえき?」

「……血もそうですけど、汗とか、涙とか……」

黒川は耳まで真っ赤になりながら、しどろもどろに言葉を継いだ。

「とくに、先輩の体液は、甘くて……すごく、いい匂いで……」

黒川がごくりと、唾を飲んだのがわかった。

「……もう、止まらないんです」


黒川はソファの端に逃げるように座り直し、震える声で続けた。

「……先輩の匂い、俺、本当にだめなんです。近くにいると、ずっと我慢してる」

「……我慢?」

「キスも、触れるのも、血を舐めるのも……全部、俺の本能みたいなもんで」

黒川の声が、かすかに震えた。

「先輩が俺を避けたとき、つらかったです。ほんとは触れたくて仕方ないのに、俺ばっかりおかしくなってるみたいで」

すみれの心臓が、バクバクと鳴る。

「……先輩、笑いますよね。こんな、気持ち悪い話」

「全然、笑わない。……むしろ」

すみれは頬を赤くしながら、小さく息を吐く。

「それって伝染するのかな?私も……黒川くんのこと考えると、止まらないよ」

黒川の目が、大きく見開かれる。

「だって……私も、あの夜からずっと変なんだもん」


黒川の瞳が、だんだんと潤んでいく。


黒川がそっと近づき、すみれの頬に手を添えた。
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