バンパイア君は私に甘々でメロメロ

【おまけ】あの日の夜★

夜の空気は少しひんやりしているのに、黒川の部屋の中は、ふわりとした熱気に包まれていた。

「先輩、もう逃げられないですよ」

黒川が、すみれの髪を指に絡めながら、いたずらっぽく囁く。

「……逃げてない……」

すみれがむくれるように言うと、黒川は優しく笑った。

「知ってます。……先輩も俺のこと、見てくれてるから」

黒川の瞳は、甘い蜜を溶かしたように潤んでいて、すみれの心臓がどくんと大きく跳ねる。

次の瞬間、そっと唇を重ねられた。

最初は軽いキス。けれどすぐに、黒川の舌が触れ、探るようにゆっくりと絡みついてくる。

「ん……」

すみれが息をもらすと、黒川は目を細め、より深く口づけた。

「先輩の味、やっぱり甘くて、美味しい」

そう言う黒川の声は、耳元をくすぐるように低い。

「い、言わないで……」

「どうして? 可愛いのに」

黒川は、すみれの頬を優しく撫で、指先で唇の端をなぞる。

「先輩、俺のことずっと見てたでしょう?」

「み、見てない……っ」

「嘘だ」

黒川の笑みが近づき、また柔らかいキスを落とす。今度は長く、深く。

舌が絡むたびに、全身が熱を帯びていく。黒川がすみれをごくりと飲み干しているのがわかる。

黒川の手がすみれの背中を撫で、そっと抱きしめる力を強めた。

「……黒川くん……」

「もっと、こっち向いてください」

黒川の声は甘く、少し震えていた。

「先輩のこと、大事にするから……俺だけの顔、見せてください」

その言葉に、すみれの胸の奥がきゅうっとしめつけられる。

「……やだ、ずるい……」

「……ずるくてもいいです。…俺の本心だから」

再び唇が重なり、キスは徐々に熱を増す。

黒川の指先が、すみれの鎖骨をなぞり、柔らかく肌に触れるたび、息が震える。

「黒川くん……私のこと、すき……?」

その問いかけに、黒川は少し驚いたように目を開き、すぐに真剣な表情で頷いた。

「もちろん。……大好きです」

黒川はすみれの手をそっと握りしめ、指先に自分の唇を落とす。

「先輩の全部が、愛おしくて仕方ないんです」

頬が熱くなるすみれを、黒川はぎゅっと抱きしめた。

「今夜は、ずっと一緒にいてもいいですか」

「……うん」

小さく返したすみれを、黒川は嬉しそうに見つめると、再びそっとキスを落とした。

甘い吐息と、優しく触れ合う音が、何回も何回も部屋を満たしていく。

夜はゆっくりと明けていった――。
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