夏休みの自由課題について

主に主人の警護役を勤めていた男もまた信頼があり、使用人の女を任せるに足る人物だった。
ふたりが結婚すれば、ふたりともここで住まいながら働き続けることもできる。

こんないい案はないと考えた主人はさっそくふたりを引き合わせた。
警護役の男は大いに喜んだが、女は相変わらず本が読めればなんでもいいという様子で二言目には婚姻が成立していた。

これで主人としても気に悩むことがひとつ減った。
そう思っていたのだが……。
あまりにも本の虫である女に、男が業を煮やした。

屋敷内の同じ部屋で寝起きしていても女は少しもこちらに見向きもしない。
読んでいる本はどれも奇妙な怪奇譚ばかり。