夏休みの自由課題について
けれどもやっぱり女は妖怪や幽霊が好きなようで、川を見れば河童だの、井戸を見れば死体が浮かんでいるだのと不吉なことばかりを口にする。

『こっちにおいで。綺麗な眺めだから』
やがてふたりは森の中に入り込み、小屋の近くまでやってきた。

周囲はうっそうとした茂みに囲まれている中、女は自分の旦那に言われる通りに近づいて行った。

『この小屋には人が住んでいますよね?』
『あぁ。でも今は留守だよ』
『でも、眺めがいいとは思えませんが』

不審そうな顔つきになりながらも近づいて行くと、どこからともなく野生動物のうなり声が聞こえてきた。
ビクリと身をすくめる女。
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