「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
床に剣が突き立てられたままの広間で、その声が鋭く響いた。

「死のうとしても死にきれず、今度は敵国の為に、その命を削るとは……」

そして、冷笑を浮かべた。

「いい死に様だろう?」

広間に、ぞわりとした空気が流れる。

静かな悪意、勝者の冷酷な宣告。

ゼインは何も言わなかった。

顔を伏せることも、目を逸らすこともせず、ただ静かに立っていた。

だが私は見た。

その瞳の奥に灯ったもの。

誇りを踏みにじられた男が、それでも決して屈していない光――

死よりも屈辱的な命令。

でも、それでもなお、彼は立っている。

きっとこの瞬間からすでに、

私とこの男の“戦い”が、始まっていたのかもしれない。

そしてその夜。

ゼインは縄を解かれた姿で、私の部屋にやってきた。

「……なぜ、ここに?」

私は驚いて問う。

「国王に、“王太子の間”で暮らせと言われた。」
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