「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「何⁉ 相手の指揮官は誰なんだ!」

父王の鋭い声が響く。

「それが……」

兵士は言葉に詰まり、顔をこわばらせた。

まるで、その名を口にすることすら恐れているかのようだった。

「言え!」

父王が一喝する。

兵士は震える声で、ようやく答えた。

「ラグナリア王、ゼイン陛下自らが……最前線にお立ちです!」

その瞬間、重臣たちの間にどよめきが走った。

「王が、前線だと……?若僧が何を──」

だが、私は知っていた。

ゼイン・ラグナリアという男の名が、ただの“若僧”ではないことを。

彼の統率力と冷徹さは、ただの戦術では測れない。

それは“命を懸ける覚悟”がある者だけが持つ力。

だからこそ、あの小国が我が軍を押し返しているのだ。

「残りの軍も派遣しろ!」

父王が叫んだ声が、謁見の間に響き渡る。

どうしても、小国ラグナリアに眠る“ダイヤモンド”が欲しいらしい。
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