「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「ここにいるという事は、誰かが君を買ったのか。」

ゼインの声は低く、震えていた。

シシリアは、静かにうなずいた。

「ええ。でも、私の意思でここにいるの。……その人に救われたから。」

「……君は聖女だろ。」

ゼインの声が強くなる。

「誰も、君を支配できないはずだ。」

その瞬間、ゼインの視線が彼女の額に向けられた。

そこには――聖女の証である、美しい宝石があった。

透明に近い黄色の光を放ち、その光の奥に、彼女の清らかさと強さが宿っている。

そしてその宝石にふさわしい、薄黄色のロングストレートの髪が、彼女の背をさらりと撫でていた。

言葉が出なかった。

“聖女”というにはあまりにも……美しすぎた。眩しすぎた。

私の王国のどんな貴族の令嬢よりも、どんな肖像画の女神よりも美しかった。

その時――

私の背後から、ひとりの男が歩み出た。

年齢は30を過ぎたばかりだろうか。
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