「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「そんなに死にたいのなら、死ねばいいわ。」

冷たくそう言いながら、彼の膝元に短剣を投げるように差し出す。

ゼインの目が一瞬だけ、ゆっくりと私を見上げた。その瞳に、痛みと後悔と、愛が混ざっていた。

「理由は、結婚が嫌だったからにして。」

そう言い放って私は背を向けた。

扉に手をかけ、開け放つ。

「それなら私も、納得できるから。」

静かに言い残して、私は部屋を出た。

その瞬間、心のどこかで――彼がそれを選ばないことを信じていた。

だけどもし、この愛が本物でないのなら。

それでも私は、彼の王妃になどなりたくなかった。

廊下を歩くその背に、まだ彼の答えはなかった。

翌日。

扉を開け、王太子の間に足を踏み入れた瞬間、私は息をのんだ。

ゼインが、そこにいた。

赤い軍服に身を包み、肩章まできちんと整えられている。

その姿は、アルディナ王国の未来を背負うにふさわしい威厳を湛えていた。

「……ゼイン」
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