「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
瞬間、場がざわついた。

王女の婿として迎えられたゼインが、まさか正式に王太子の位に就くとは誰も思っていなかったのだ。

ゼインは驚いたように動けずにいた。

その姿に、私はふっと笑みをこぼした。

――ようこそ、私の世界へ。

「ゼイン、膝を。」

ゼインは、玉座の前で静かに片膝をついた。

その瞳に浮かぶのは、覚悟と誇り、そして消えぬ傷の影。

父王――アルディナ国王は、隣の侍従から剣を受け取り、それをゆっくりとゼインの前へ差し出す。

「王太子・ゼイン。この剣を、おまえに託す。」

その瞬間、空気が張りつめた。

「……はっ。」

ゼインは、両の手でその剣を丁重に受け取ると、ゆっくりと立ち上がった。

赤い軍服の胸に、その王家の剣を収める。そして、まっすぐ前を向いたまま、胸に手を当て、朗々と宣言した。

「このゼイン・アルディナ、王太子として……この国のすべてを、この命に代えても守ります!」
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