「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「リシェル。……これからは、俺が君の隣に立つ。」

心が震えた。

かつて、滅びた国の王子だった彼が、今は私の夫であり、この国の未来そのものだ。

──この瞬間、アルディナ王国は新しい時代を迎えたのだ。


湯気が立ち込める浴室で、私は静かに湯船に身を沈めた。

心臓がどくん、どくんと早鐘のように鳴っている。

初夜。

その言葉だけで、肌の内側から熱がこみ上げてくるようだった。

背後の扉が開く音に、私は思わず肩をすくめた。

「ゼイン……?」

振り返ると、彼が、何の躊躇もなく裸でこちらに歩いてくる。

見惚れるほど整った身体。戦場で鍛えられた筋肉が、湯気の中で艶めいていた。

「えっ……ま、待って……っ!」

慌てて胸元を隠す私に、ゼインはにやりと笑う。

「なんか……新鮮だな。」

そう言って、彼は当たり前のように、私の隣にどっぷりと湯に浸かった。

お湯が揺れ、彼の太ももが、ほんの少し私の脚に触れた。
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