「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「結婚か……まさか俺が結婚するなんてな。」

その呟きに、思わず言葉が漏れた。

「あら……シシリアとは、結婚の約束してたんじゃなかった?」

初夜に皮肉を言うつもりじゃなかったのに。

でも、言葉が口から勝手に出てしまった。

ゼインは、少しだけ表情を曇らせた。

「……戦火にいたからな。毎日、明日があるかも分からない。愛し合うことで精一杯だった。」

私は黙って、湯の中で自分の膝を抱きしめた。

お風呂から出ると、私は支度された寝衣に袖を通した。

淡いクリーム色の絹のドレス。

胸元はやや開いていて、胸の形がくっきりと浮かぶ。

――どうして、こんなに薄くて、身体の線が出るの?

思わず鏡の前で胸元を押さえた。

ゼインはすでに身支度を終えていて、簡素な白いシャツに黒いズボンという、肩肘張らない装いだった。

それなのに、私だけ――
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