「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「じゃあ、焦らない。君のペースでいいよ。俺たちはもう夫婦なんだから……逃げられないんだ」

その言葉は、どこかくすぐったくて、でもとても安心できた。

ゼインの手が、私の腰にまわる。

「ただ、今夜は……君のぬくもりをそばに感じていたい。」

そのささやきに、私はそっと頷いた。

「……うん。」

ふたりの影が、夜の灯りに寄り添うように重なっていった。

ベッドに横になり、薄く灯る蝋燭の明かりが天蓋のレースを照らす。

ゼインが、私の上にそっと覆いかぶさった。

その動作一つ一つが慎重で、まるで壊れ物に触れるようだった。

「ねえ」と私は小さく問いかけた。

「うん?」とゼインは顔を寄せる。

「初夜って……何をするの?」

緊張で息が詰まりそうな私の問いに、ゼインは少しだけ笑みを浮かべた。

「……俺を、受け入れてくれれば、それでいいよ」

そう言って、彼の吐息が首筋にかかる。

くすぐったさと、どこか熱を帯びた感覚に、思わず身を竦めた。
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