「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
ゼインの手が、胸元の紐を解き、ドレスがすべるように肩から落ちる。

「……はぁっ」

肌に彼の手が触れた瞬間、甘い吐息が漏れた。

ただ撫でられているだけなのに、心も体も反応してしまう。

なぜ……こんなにも気持ちよくなってしまうの?

「リシェル、固くならないで。力抜いて」

ゼインの声は低く、けれどどこまでも優しかった。

私は、ぎゅっと握っていたシーツから指を離し、ゼインの背に手をまわす。

「……こわいの。」

「大丈夫。君が望むなら、どこまでも優しくするよ。」

その言葉が胸の奥に沁みて、私は瞼を閉じた。

ゼインの唇が、私の首筋から鎖骨へ、そして胸へとゆっくりと降りていく。

触れるたびに熱が灯り、心の奥がとろけていく。

「リシェル……君が欲しい。」

耳元でそう囁かれた瞬間、私の中の何かがほどけた。

私は、ゼインにすべてを委ねるように小さく頷いた。

「……来て、ゼイン。」

二人の体が一つになるその瞬間、私は確かに、彼の愛に包まれていた。
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