「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「っ……」

鋭い痛みが体を走る。

その瞬間、思わず息が止まった。

「やっぱり……初めてだったか。」

ゼインは、私の頬を優しく撫でながら、少し苦しげに息を吐いた。

「……すまない、痛かったな。」

「……ううん、大丈夫。ゼインが……優しいから。」

私の言葉に、ゼインはぎゅっと私の手を握り返してくれた。

ゆっくりと、慎重に、ゼインは動く。

そのたびに、体が熱を帯びていくのがわかる。

「リシェル……大丈夫か?」

「うん……ちょっと……恥ずかしいだけ。」

頬に火が灯ったように熱くなって、ゼインの顔が見られない。

「すぐ終わらせる……だから。」

ゼインの額に汗がにじみ、荒い吐息が耳元にかかる。

「……ああ、ゼイン」

思わず名前を呼ぶと、ゼインの動きが一瞬止まり、私を見下ろした。

その瞳は、どこまでも熱を宿していて、でも優しさもあって。

こんな目で見られたら、もう何も隠せない。

「ゼイン……私……」
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