「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
ゼインの愛。その証が、私の中に――確かに注がれた。

「はぁ、はぁ……」

ゼインはそのまま私の上に覆いかぶさるように、額を私の肩に埋めて小さく息をつく。

「その……今のって、子種……?」

ぽつりと私が口にすると、ゼインがふっと息を漏らし、顔を上げて微笑んだ。

「……せめて、“熱”とか、“愛”とか、そう言って欲しいな。」

「……ご、ごめん。なんか、言葉がそれしか出てこなくて。」

恥ずかしくて、私は布団をぎゅっと握った。

するとゼインは私の頬に唇を寄せて囁いた。

「ちゃんと伝わったよ。リシェルに、俺のすべてを渡せた気がしてる。」

その言葉に、胸がきゅんと熱くなった。

私はそっとゼインの髪を撫でながら、微笑む。

「私も……受け取ったよ、全部。あなたの“熱”も、“愛”も。」

ゼインは優しく私を抱きしめ、額をこつんと重ねた。

「ありがとう、妻になってくれて。」

この夜、私たちは真に夫婦になった――心も、身体も、すべてを分かち合って。
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