「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
それからというもの、私たちは――まるで何年も愛し合ってきた恋人のように、毎晩のように肌を重ねた。

「リシェル……」

「ゼイン……早く……あなたの愛を、私の中に注いで……」

私がそう囁けば、ゼインはいつだって、迷わず私を抱きしめ、優しく、そして深く――私のすべてに愛を注いでくれる。

彼の体温、吐息、低く震える声。それらが、私の体の奥にまで響き渡るたび、私は愛されている幸福に包まれた。

ある晩のことだった。

静かな夜。ひとしきり求め合ったあとの余韻に、私はゼインの腕の中で眠るように身を寄せていた。

心地よい鼓動が耳に伝わってくる。ゼインの手が、そっと私の髪を撫でる。

「ゼイン……」

私はその大きな胸に額をすり寄せながら、そっと言った。

「このお腹の中に、あなたの子種があるのね……」

そう言って、私はゼインの頬に優しくキスを落とした。

ゼインは少しだけ驚いたように目を瞬かせたあと、低く笑った。
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