「おまえほどの男、殺すには惜しい」と父に言われた敵国の王子の妻になりました
「おまえの国、ラグナリアはこのアルディナの一部となる。」

父王の宣言が響いた。

その瞬間、私はゼインがほんの僅か、息を呑んだのを見た。

国を守るために戦った男が、国を“奪われる”その瞬間だった。

「……俺は、どうなる?」

ゼイン王が静かに問うた。

その声は震えてはいなかった。ただ、確かめるような、低い響きだった。

「一生、牢獄暮らしか?それとも、軟禁か?……はたまた──」

言いかけた彼の喉が、ごくりと鳴った。

「極刑か。」

誰もが息を呑んだ。

だが、ゼインはふっと笑った。

薄く、皮肉げに。

まるで、自らの結末を見通していたかのように。

「通常であれば、滅ぼした国の王は、その場で殺す。それが当然だろう?」

「そうか。」

その一言には、確かな覚悟が宿っていた。

ゼイン・ラグナリア。

この男は、本当に“死”を恐れていない。
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