Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
初めてのラブソング
五月になり、想の新曲がリリースされた。
タイトルは『Blue Moon』
ストレートに愛を語る歌詞と、切なくなるほど美しいメロディのバラードだった。
雑誌の取材を受けた想は、かつて『いつか想さんのラブソングを聴いてみたいです』と言ってくれた編集者と再会する。
彼は開口一番「念願叶いました。素敵な曲ですね」と想に笑いかけた。
「無粋なことは聞きませんが、この曲はラブソングと捉えて構いませんか?」
「はい。私自身の素直な気持ちをこの曲に込めました」
へえ、と編集者は目を見開く。
「こんなに柔らかい表情の想さんも初めてです。幸せそうですね」
「曲を書きたい、音楽で表現したいという意欲が、止めどなく溢れてきます。心の中が音で満たされているというか……。こんなに曲を書くのが楽しいと思ったことは、今までありませんでした」
「そうなんですね。また続々と想さんの新曲が聴けそうで、とても楽しみです」
「ありがとうございます。自分でも、これからどんな曲を生み出していくのか、わくわくしています。インストゥルメンタルを集めたアルバムも作りたいと思っています」
「それはとても楽しみです。期待しています」
「はい、楽しみにお待ちください」
インタビューの記事が公開されると、SNSは感想や憶測で賑わった。
【これって想のリアルの恋?】
【心境の変化はあったよね、なんか雰囲気変わったもん】
【こういう表情の想もいいね!】
【Blue Moon、すごくいい曲。切なくて泣ける】
そんなコメントが続くが、最後はやはり【相手は誰?】という疑問。
ずっと恋愛と無縁な想が好きだったのにショックだ、と言ってファンクラブを退会するという人もいた。
想はスタジオや自宅マンションを移動する度に、張り込んでいた記者に取り囲まれ、質問攻めにされる。
ある日、「恋人ができたという噂ですが、はっきり答えてください。黙っているのは、人に言えないような相手だからですか?」と問いかけられ、想はピタリと足を止めた。
振り返って記者たちをゆっくりと見渡す。
「恋人ができたというのは事実です。自分にとってかけがえのない大切な人です。失えば、私の心から音楽も消える。それほどまでに私の中では大きな存在です」
初めて語られる恋人への言葉に、記者たちは「おお!」とどよめき、急いで記事を書き始める。
想は口角を上げてキリッとした表情のまま、その場をあとにした。
タイトルは『Blue Moon』
ストレートに愛を語る歌詞と、切なくなるほど美しいメロディのバラードだった。
雑誌の取材を受けた想は、かつて『いつか想さんのラブソングを聴いてみたいです』と言ってくれた編集者と再会する。
彼は開口一番「念願叶いました。素敵な曲ですね」と想に笑いかけた。
「無粋なことは聞きませんが、この曲はラブソングと捉えて構いませんか?」
「はい。私自身の素直な気持ちをこの曲に込めました」
へえ、と編集者は目を見開く。
「こんなに柔らかい表情の想さんも初めてです。幸せそうですね」
「曲を書きたい、音楽で表現したいという意欲が、止めどなく溢れてきます。心の中が音で満たされているというか……。こんなに曲を書くのが楽しいと思ったことは、今までありませんでした」
「そうなんですね。また続々と想さんの新曲が聴けそうで、とても楽しみです」
「ありがとうございます。自分でも、これからどんな曲を生み出していくのか、わくわくしています。インストゥルメンタルを集めたアルバムも作りたいと思っています」
「それはとても楽しみです。期待しています」
「はい、楽しみにお待ちください」
インタビューの記事が公開されると、SNSは感想や憶測で賑わった。
【これって想のリアルの恋?】
【心境の変化はあったよね、なんか雰囲気変わったもん】
【こういう表情の想もいいね!】
【Blue Moon、すごくいい曲。切なくて泣ける】
そんなコメントが続くが、最後はやはり【相手は誰?】という疑問。
ずっと恋愛と無縁な想が好きだったのにショックだ、と言ってファンクラブを退会するという人もいた。
想はスタジオや自宅マンションを移動する度に、張り込んでいた記者に取り囲まれ、質問攻めにされる。
ある日、「恋人ができたという噂ですが、はっきり答えてください。黙っているのは、人に言えないような相手だからですか?」と問いかけられ、想はピタリと足を止めた。
振り返って記者たちをゆっくりと見渡す。
「恋人ができたというのは事実です。自分にとってかけがえのない大切な人です。失えば、私の心から音楽も消える。それほどまでに私の中では大きな存在です」
初めて語られる恋人への言葉に、記者たちは「おお!」とどよめき、急いで記事を書き始める。
想は口角を上げてキリッとした表情のまま、その場をあとにした。