策士の優男はどうしても湯田中さんを落としたい

祐は微笑んだ。

「困らせたいんですよ。先輩のこと。」

そう言うと、祐は手を伸ばし、瑠璃の頬にそっと触れた。親指で彼女の頬をゆっくりとなぞる。

「先輩が誰にも見せない顔、もっと見たい。」


祐は身をさらに寄せ、囁くように言った。

「この前の店での先輩も…すっごく綺麗だったけど」

瑠璃の瞳が怯えるように揺れる。

「俺の前でだけ、もっと無防備になってほしい。」

瑠璃が何かを言おうとしたが、祐が言葉で制した。

「いいですよね？もう、他の男の視界に入るのはやめてください。」

「…えっ」

祐は目を細め、口元に薄い笑みを浮かべた。

「先輩を、俺だけのものにしたい。」

言い終わると、祐は瑠璃の髪を耳の後ろにそっとかき上げた。指がうなじを撫で、その感触に瑠璃の体がびくりと震える。

「……冗談だよね？」

瑠璃がかすれた声で言う。だが、祐の瞳は少しも笑っていなかった。

「どっちだと思いますか？」

祐はそのまま、唇を瑠璃の耳元へ近づける。

「俺、本気なんですよ。」

その低く甘い囁きに、瑠璃は息を詰めたまま動けなくなっていた。