策士の優男はどうしても湯田中さんを落としたい
「……もう我慢できません」

祐は囁くように言うと、瑠璃の髪をやさしくかきあげ、耳朶に唇を寄せる。

「あっ……」

熱い息がふわりとかかるだけで、瑠璃の体は小さく震えた。

「声……可愛すぎる」

「やだ……」

「可愛いのに」

祐は首筋から鎖骨へ、ゆっくりと唇を落としていく。ひとつ、またひとつ。まるで印をつけるように。

「んっ……」

くすぐったいようで、甘く痺れるような感覚に、瑠璃は小さく吐息をもらした。

祐の指先がブラウスの残りのボタンに触れる。

「見せてください」

「……ダメ」

「俺、全部知りたい」

小さな拒絶は、祐の熱に飲まれていく。祐はゆっくりとボタンを外し、瑠璃のブラウスをそっと開く。

「やっぱり……綺麗」

視線が肌を這うように注がれるだけで、瑠璃の心臓が跳ねた。

「そんなに見ないで……」

「無理です」

祐はそのまま瑠璃の肩にキスを落とし、鎖骨を辿って谷間に唇を埋める。

「祐……っ」

「俺にもっと甘えてください」

「甘えてる……」

「まだ全然」

祐の指がそっとブラのホックにかかる。瑠璃は思わず手で止めようとするが、祐はその手をやさしく掴む。

「俺のこと、好きになってください」

「もう……」

「全部俺を受け入れるまで、離しません」

そう言うと、祐は瑠璃の耳元で低く囁いた。

「さっき、足りない顔してたじゃないですか」

「してない……」

「してました」

祐の舌が耳を軽くなぞる。

「祐……っ」

その甘い声を合図のように、祐の手は瑠璃の背中のホックを外し、下着をゆっくりと外す。露わになった素肌を、すぐにその唇で塞ぐように吸い上げる。

「やっ……だめ……そんな……」

「綺麗すぎて、俺、止まれない」

吸われるたび、瑠璃の体はびくんと反応した。

「俺を見て」

祐は顔を上げ、真っ直ぐに瑠璃を見つめた。瞳の奥には、抑え切れない熱が揺れている。

「好きです、瑠璃」

そして再び口づける。今度は深く、舌を絡ませ、甘い音が二人の間に広がる。

瑠璃ももう拒む力が抜けたように、祐の首に腕を回した。

「……んっ、祐……」

「大丈夫です。望むまで、優しくしますから」

祐はさらに瑠璃を抱きしめ、そのままベッドのシーツへと沈み込んでいった。
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