策士の優男はどうしても湯田中さんを落としたい
「もう……祐、だめ……」

熱を帯びた声で、瑠璃は祐を押し返そうとするけれど、腕にまったく力が入らない。祐はそんな瑠璃を見つめて、息を弾ませながら微笑んだ。

「……だめじゃないです。瑠璃、もう限界でしょう?」

「ちが……っ」

「嘘です」

祐の瞳は獲物を逃さない猛獣みたいに鋭いのに、笑顔はあくまで優しい。

「俺、瑠璃がこうなるの、想定済みですから」

「は……?」

「ずっとこうしたかったんです」

祐は躊躇なく、瑠璃をベッドへと押し倒す。柔らかなシーツが背中を包む感触に、瑠璃の体がびくりと震えた。

「祐……っ、だめ……」

「瑠璃の『だめ』は全然説得力ないです」

首筋へ、鎖骨へ、祐の唇が熱を刻むたび、甘い声が瑠璃の喉から漏れる。指先はさらに巧みに肌をなぞり、胸元を優しく揉みしだき、そこへ唇を押しあてる。

「んっ……や、ぁ……っ」

「可愛い……瑠璃の全部、俺だけのものにしたい」

祐はもう止まらない。瑠璃の太ももへ手を這わせ、ゆっくりと脚を開かせていく。

「いや……恥ずかしい……」

「恥ずかしがる顔も、たまらなく可愛い」

そして、そのまま深く重なり合う。

「瑠璃……っ」

熱が交わった瞬間、瑠璃の瞳が潤み、小さく喘ぎ声が漏れた。

「っ……あ、祐……」

「大丈夫です、ゆっくりするから」

祐は瑠璃の顔を両手で包み込み、額を合わせる。目と目を見つめ合いながら、奥へと進むたびに、二人の身体はびくん、と同時に震えた。

「……ぁ、や、ん……」

「好きです……好きでたまらない」

その言葉の熱が、瑠璃の胸の奥までとろりと溶かしていく。

「祐……好き……」

祐の瞳が優しく細まり、唇が深く重なった。唇と舌を何度も絡め、息を奪うようにキスを交わす。

そして祐は、徐々に動きを強め、甘い声を瑠璃から引き出し続けた。

「んっ……あっ……やっ……」

部屋に響くのは二人の濡れた吐息と、熱い肌の音だけ。

祐がさらに深く達した瞬間、瑠璃は瞼をぎゅっと閉じて震えながら、小さく泣き笑いした。

「……もう、むり……」

「瑠璃、可愛すぎます」

最後まで優しく、しかし激しく、祐は瑠璃をさらっていった。



やがてすべてが終わり、瑠璃は祐の胸の中にすっぽりとおさまっていた。

「……祐、重い……」

「え? ひどい」

「だって……」

「でも離れません」

瑠璃が頬を赤くして、顔を背けようとすると、祐が顎を指先で取って引き戻す。

「瑠璃、これからも俺が全部面倒みますから」

「……面倒みるって、何の?」

「生活費も、家族のことも、全部です」

「祐……」

瑠璃の瞳が、じわりとうるんだ。

「瑠璃が幸せになるのが、俺の幸せですから」

「……もう、そういうの、ずるいんだから」

祐は柔らかく笑い、瑠璃の髪を撫でた。

「ずるい男でいいです。瑠璃が俺のものなら」

瑠璃はため息をついて、祐の胸元に額を埋めた。

「……じゃあ少しだけ、こうしてていい?」

「もちろん。ずっとこうしてましょう」

そう囁いて、祐は瑠璃の額にそっと口づけた。二人の間には、もう誰も入れないほど甘く静かな時間が流れていた。
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