色褪せて、着色して。~番外編~
散歩と言うから、てっきり歩いて行くのかと思ったら。
バニラが「行きたいところがありますので」と言って馬車を用意した。
御者席にトペニとナズナが座る。
「姫様と一緒の席でなくていいのか」
「……」
ナズナは首を横に振る。
あんな密室空間に好きな人と一緒だなんて無理だ。
馬車で向かったのは、マヒルの家から10分ほどの古びた屋敷であった。
ナズナが働く秘密の館と比べると小さいほうであったが。
それでも、見事な庭園が屋敷の前に広がっている。
「こちらは、どちら様の屋敷なのですか?」
ナズナがバニラに質問すると、バニラはにっこりと笑った。
「棟梁様の別荘の一つですわ」
「棟梁って、マヒル様たちが一時期住んでいた家を手伝ってくれたサングラスの人?」
かつて、マヒルは王弟である蘭様に家を追い出され。
廃墟としか言いようのない家に住むように命令された。
隣国の王族であるマヒルは絶望するどころか、金槌やノコギリを持って。
廃墟をリノベーションしたのである。
とはいえ、知識のないマヒルたちを助けたのが大工の棟梁であった。
棟梁の名前は誰も知らないが。
どうやら、貴族だということをジョイやマリアがほのめかしていた。
「棟梁様は別荘を幾つも持っておいででして…こちらの別荘はあまり来られていないそうですので。たまに遊びに来て良いと許可をもらっております」
「…へえ」
あまり来ていないとはいえ、庭の手入れはばっちりとしてある。
誰か庭師を雇って、定期的に手入れをしているのだろう。
「ナズナ様。わたくしとトペニ様は準備がありますので、マヒル様のお相手をよろしくお願いします」
「へっ!?」
そう言ったかと思えば、バニラの姿がない。
「ナズナくん、こっち」
マヒルに手招きされて。
ナズナは慌てて、ベンチに座っているマヒルの側に駆け寄った。
「座って」
マヒルに言われるがままナズナはマヒルの隣に座る。
こんな近くに座って大丈夫なのか…
「緊張してる?」
「はい!」
音量を間違えたのか、ナズナは馬鹿でかい声で返事をしてしまう。
「さっきは、告白してくれてありがとう。びっくりしたけど、嬉しかった」
風で、マヒルの美しい髪の毛が揺れる。
目の前にいるのは、まるで人間じゃなくて女神そのものだとナズナは感じる。
「私は、いっつもナズナくんに避けられているから。嫌われているのかと思った」
「違います! 逆です! 緊張するからです」
大声で言ったナズナにマヒルは、ぷぷぷ…と笑い出した。
バニラが「行きたいところがありますので」と言って馬車を用意した。
御者席にトペニとナズナが座る。
「姫様と一緒の席でなくていいのか」
「……」
ナズナは首を横に振る。
あんな密室空間に好きな人と一緒だなんて無理だ。
馬車で向かったのは、マヒルの家から10分ほどの古びた屋敷であった。
ナズナが働く秘密の館と比べると小さいほうであったが。
それでも、見事な庭園が屋敷の前に広がっている。
「こちらは、どちら様の屋敷なのですか?」
ナズナがバニラに質問すると、バニラはにっこりと笑った。
「棟梁様の別荘の一つですわ」
「棟梁って、マヒル様たちが一時期住んでいた家を手伝ってくれたサングラスの人?」
かつて、マヒルは王弟である蘭様に家を追い出され。
廃墟としか言いようのない家に住むように命令された。
隣国の王族であるマヒルは絶望するどころか、金槌やノコギリを持って。
廃墟をリノベーションしたのである。
とはいえ、知識のないマヒルたちを助けたのが大工の棟梁であった。
棟梁の名前は誰も知らないが。
どうやら、貴族だということをジョイやマリアがほのめかしていた。
「棟梁様は別荘を幾つも持っておいででして…こちらの別荘はあまり来られていないそうですので。たまに遊びに来て良いと許可をもらっております」
「…へえ」
あまり来ていないとはいえ、庭の手入れはばっちりとしてある。
誰か庭師を雇って、定期的に手入れをしているのだろう。
「ナズナ様。わたくしとトペニ様は準備がありますので、マヒル様のお相手をよろしくお願いします」
「へっ!?」
そう言ったかと思えば、バニラの姿がない。
「ナズナくん、こっち」
マヒルに手招きされて。
ナズナは慌てて、ベンチに座っているマヒルの側に駆け寄った。
「座って」
マヒルに言われるがままナズナはマヒルの隣に座る。
こんな近くに座って大丈夫なのか…
「緊張してる?」
「はい!」
音量を間違えたのか、ナズナは馬鹿でかい声で返事をしてしまう。
「さっきは、告白してくれてありがとう。びっくりしたけど、嬉しかった」
風で、マヒルの美しい髪の毛が揺れる。
目の前にいるのは、まるで人間じゃなくて女神そのものだとナズナは感じる。
「私は、いっつもナズナくんに避けられているから。嫌われているのかと思った」
「違います! 逆です! 緊張するからです」
大声で言ったナズナにマヒルは、ぷぷぷ…と笑い出した。