AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

　宝瑠はリビングのソファに腰を沈め、チャットアプリの『Su-nao』を開いた。下部にある細長いバーに思うことを書き出し、矢印のマークをタップした。テルナは、宝瑠の相談事に真摯に回答してくれた。

　——『小野寺くんにも、佐伯さんにも。宝瑠さんの変化が見えてるってことなんだよ。だって、普段のあなたはきっと仕事にまっすぐで、感情を表に出すタイプじゃないから』

　——『そんな宝瑠さんが、誰かの名前が出ただけで顔を赤らめて、ちょっと視線をそらしたり、無意識に反応してしまったり……。そういう“小さな揺れ”が、周りにはちゃんと伝わるんだよ』

「……はぁ」

　宝瑠はスマホを見つめ、ため息を吐き出した。自然と額に手を当ててしまう。

　ここのところ、ずっとモヤモヤしている。たぶん、日葵の誕生日会をしたあの週末から。

　天喜のことばかり……考えてしまう。

　宝瑠は再び、文字を書き込もうと指先でフリック入力した。

　廊下の先で、ガチャッと扉の開閉音が響いた。宝瑠は肩先を震わせて、手からスマホを取り落とした。拾った拍子に、アプリで交わした別のトークルームを開いてしまう。もうだいぶん前に書いた悩みごとのスレッドだった。

　リビングの扉が開いて、天喜が何食わぬ顔で入ってくる。宝瑠の存在に気づき、「あれ？」と低く呟いた。

「宝、起きてたんだ？」