AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

「……う、ん。ちょっと……眠れなくて」

　嘘だ。アプリ上でテルナとやり取りしたいがために、まだ寝るつもりじゃなかった。宝瑠は膝の上に伏せたスマホを握り、顔を背けた。

　カウンターキッチンに立った天喜が戸棚を開けて、「なにか飲む？」と聞いてくる。

「ううん、私は……いいや」

　目を伏せながら、小さく首を振る。張り付くような視線を感じる。おそらくは天喜が、ジッとこちらを見つめている。あの、遠慮のない目つきで。

「どうした？」

　ふいに彼がそばに来る。ぎこちなく表情を固めた宝瑠を見て、ソファに座った。「メールしてたの？　だれと？」。

「……えっ」

　宝瑠が顔を上げると、正面から彼と目が合った。ドキンと心臓が跳ねて、宝瑠はグッと唇を引き結んだ。

「もしかして、小野寺さん？」

　目を細めた天喜と視線が交わり、逸せなくなる。

「……さっきから様子がおかしいから。誰かに相談でもしてんのかなって」

「そ」と声が震えた。

「そんなんじゃ、ない」

　ようやく顔を逸らしたとき、膝の上で抑えていたはずのスマホがするりとラグの上に滑り落ちた。天喜の指先が伸びて、拾ってくれる。「あっ」とうっかり声を上げてしまう。

　彼は開いたままの画面をジッと見て、いくらか目を見張った。

「え……このチャット、『Su-nao』って……」
「か、返して……っ」