AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
 咄嗟のことで慌て、スマホに腕を伸ばした。当然天喜との距離が近くなる。

 至近距離で、目が合った。

 いつものように揶揄うでもなく、探るでもなく、ただ真っすぐな瞳だった。

 宝瑠はドキンと心臓を鳴らし、咄嗟に目を逸らそうとした——けれど、先に逸らしたのは、天喜の方だった。

「……ごめん、つい見た」

 そう言って、彼はスマホをそっと返してきた。

 宝瑠は誤操作して開いた画面を見つめた。

 うわ、最悪……。

 思わず顔をしかめ、瞑目した。
 うっかり開いたチャットは『堕胎についての悩み』だった。テルナがつらつらと書いた文面の下部には、書きかけの文字が浮いている。

『彼の気持ちが気になる。私のこと、どう|』

 どうしよう……これもめちゃくちゃ意味深な内容だし。絶対読まれたよね……?

 しかも、画面からして、AIとまともに会話してるし。イタイ奴だと思われたかもしれない。

「宝……そのアプリ使ってんだな」
「……うん」
「四月からの、あれだろ? 無料の、テストユーザー」
「そうだけど……」

 天喜がなにを言わんとしているのかわからなくて、宝瑠は顔を上げた。彼はどこを見るでもなく、虚空を見つめ、「使いやすい?」と尋ねた。

「うん……まぁ」
「ふうん……」

 なんだろう、このリアクション。天喜はいったいなにを思ってるんだろう?
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