AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
 宝瑠は眉を寄せ、思い切ってテルナとのやり取りに触れることにした。

「ていうか。見たんでしょ? 文面」
「……ちょっとだけ」
「私のこと。AIに悩み相談してる、イタイ奴って……思った?」

 天喜は依然として横顔のまま、わずかに顔をしかめた。少しの間、目を瞑り、ふっと息を吐き出した。

「堕胎のこと、は。正直、驚いた」
「……うん」
「でも、子供を産むのってそんな簡単なことじゃないし。地に足ついてなきゃ無理だし……色々事情あるよなって、思った」
「うん」

 そこでまた沈黙が落ちる。宝瑠は彼を見つめ、かすかに首を傾げた。

 それで。
 さっきの私の質問は……? もしかして、スルー?

 そう思って間もなく、天喜と目が合った。心臓がキュッと締め付けられる。

「いいんじゃねーの?」
「……え」
「そういう……AIにしか吐き出せない悩みもあるだろうし。俺はいいと思うけど?」
「……あ」

 胸の奥がふわりと温かくなった。

 肯定……してくれた?

 宝瑠はスマホに目を落とし、そっと画面を閉じた。顔が綻びそうになるのを隠すように、思わず俯いていた。

 言葉にするには少し照れくさい。けれど確かに今、自分の心は嬉しさで満ちている。
 唇の端がほんの少しだけ、上がっていた。
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