AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
「や、人違いです」

 意識して低い声を出すものの、雰囲気からして誤魔化しきれるわけがなかった。天喜がけろりとした様子で席につき、割り箸を割った。

「宝の後輩か? なんか付いてきて」

 なんか付いてきて、……じゃないわよっ!

「ママのおともだちー?」

 日葵が無邪気な笑みで桃子を見上げる。口元に付いたケチャップが可愛らしい。

 桃子は真っ青な顔で天喜と日葵を見つめ、「ママってなに、どういうこと」と呟いた。

 宝瑠はうろうろと目を泳がせ、頬をぎこちなく強張らせた。

「……あ〜……私、うどん買って来るね?」
「おう、先に食べてるからな」
「ママ、はやくきてねー」
「えっ、ちょ、先輩??」

 宝瑠はまともに桃子を見ることができず、逃げるようにうどん屋へ向かった。

「待ってくださいよ、先輩っ」

 すると今度は宝瑠を追って桃子が付いてくる。

 いや、もう、勘弁してよ。宝瑠は財布を片手にうどん屋の列に並んだ。

「さっきのなんなんですか、先輩!?」
「……なにって言われても」
「あの人なんですよ、あたしが前に言ってたの!」

 宝瑠は、ハテと首を傾げた。「なんの話?」。桃子は「もぉ〜っ」と言ってむくれた。
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