AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

「会社で、エントランスでっ、お財布拾ってくれた人ですよぉ。あたし、運命的な出会いしたって、先輩に言ったじゃないですかぁ！」
「……そうだっけ？　ごめん、記憶にない」
「先輩ひどいですよぉ〜っ」

　ひとりで熱くなる桃子に戸惑っていると、店員に呼ばれる。宝瑠はメニューを見て注文を通し、会計を済ませた。

「で。あの人、先輩のなんなんですか？　彼氏ですか？」
「……うーん、まぁ」
「彼氏、いないって言ってたじゃないですか」
「まぁ、成り行きというか……流れというか」
「可愛い女の子もいましたよね。あれ、こぶ付きですよね……え、もしかして家族？　ママって呼ばれてたし……け、結婚するんですか？」

　やや泣きそうになっている桃子をやんわりと見て、宝瑠は曖昧に言葉を濁した。

「……まだわかんない、かな」

　宝瑠の料理がトレイに載り、桃子は「じゃあ」と力なく手を挙げた。「お疲れ様でした」と続け、すごすごと宝瑠の元から立ち去っていく。「お疲れ様」と宝瑠も言葉をかけた。

　大丈夫かな、桃子……。

　肩を落とした桃子をしばらく見つめていると、彼女は友達が待つ席へ戻って行く。いかにも落ち込んでます、という態度で椅子に座り、友達になにかしら話している。きっとこれから延々と愚痴を披露するのだろう。

　やれやれ。