AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
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人生初の家族旅行を終えて、数日が過ぎ去った。
夏休みの宿題を早々と片付けた日葵は、冷房のきいた部屋でまったりアニメを観たり、絵を描いたりして過ごしていた。天喜も先月末にクライアントへの納品を終えていたので、宝瑠が二、三日仕事に出ても、家庭は穏やかに回っていた。
八月の盆休みに入り、宝瑠は家族としての時間を満喫した。
定番と化したショッピングモールへ出かけたり、日葵を室内遊具のあるレジャー施設で遊ばせたり。“ママ”という立場でそこにいることに、今ではすっかり慣れてきて、当初感じた違和感は全く覚えなくなった。
ただ、宝瑠の恋心だけがいつも大忙しだった。
契約上は“ママ役”であるはずなのに、つい自分のパートナーのように天喜を見てしまう。天喜と結婚して家庭に収まっている自分を妄想し、つい錯覚してしまう。夫婦であるような空気感に酔いしれて、彼との距離を勘違いしてしまう。
なにより、天喜の態度が格段に柔らかくなったと感じていた。少し前までは、目が合うと逸らされたり、宝瑠がそばにいると不自然に退室したりすることも多かったのに。
いつからだろう。思えば実家に帰省したあとから、天喜が優しくなったように感じていた。
嬉しいけれど、切ない。
ママとして必要とされているのはわかるのに、そこへ恋心を重ねてしまうのがずるくて。
そのたびに心臓の奥が、ギュッと絞られるように痛んだ。