妹に婚約者を奪われましたが、皇太子殿下に一途に愛されています
レミニーの問いに、私は首を横に振った。

「まだ……。何人か縁談はあったけれど、全部断られてるわ」

その時、頭の奥で何かがカチリと音を立てた気がした。

“全部断られていた”のに、“レイモンドとは二人きりで会っていた”。

これは――偶然じゃない。

「でも、大丈夫じゃない?」

レミニーが微笑む。

「レイモンドは、あなたに惚れているから」

その言葉に、私はふっと肩の力が抜けるのを感じた。

優しいレミニーらしい慰め。疑念に覆われていた胸の中が、少しだけ和らぐ。

「きっと、優しい人だから……あなたの妹も、大事にしないとって思ったのかもね」

レミニーはそう続けて、私に寄り添うような目で見つめてくれた。

私は紅茶を一口、そっと口に運ぶ。

確かに――レイモンドは優しい人だ。私が何かを望めば、無理をしてでも叶えようとする。

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