妹に婚約者を奪われましたが、皇太子殿下に一途に愛されています
「レイモンド、子供じゃないわよ。そんなに強く握らなくても」
くすりと笑って見上げると、彼は少し照れたように、けれど真剣な顔で言った。
「君は美しいからね。誰かにさらわれたら大変だ」
――そんなこと、冗談のように言って。
けれど、彼の目は笑っていなかった。
そのまなざしの奥にある何かに、私はふと戸惑いを覚えた。
それでも、そんなふうに言ってくれる彼が、やっぱり優しいと思った。
きっと、この人となら大丈夫。
そう思っていた。
――この時までは。
するとレイモンドは、ふいに何かを見つけたように視線を向けた。
「どうしたの?」
私が尋ねると、彼は言った。
「カリーナが、壁際にいる。きっと誰も声をかけてくれないんだ」
妹の名を聞いた瞬間、胸の奥がざわついた。
「だから、少しだけ――」
「待って、行かないで」
私は思わず、彼の腕を掴んでいた。
くすりと笑って見上げると、彼は少し照れたように、けれど真剣な顔で言った。
「君は美しいからね。誰かにさらわれたら大変だ」
――そんなこと、冗談のように言って。
けれど、彼の目は笑っていなかった。
そのまなざしの奥にある何かに、私はふと戸惑いを覚えた。
それでも、そんなふうに言ってくれる彼が、やっぱり優しいと思った。
きっと、この人となら大丈夫。
そう思っていた。
――この時までは。
するとレイモンドは、ふいに何かを見つけたように視線を向けた。
「どうしたの?」
私が尋ねると、彼は言った。
「カリーナが、壁際にいる。きっと誰も声をかけてくれないんだ」
妹の名を聞いた瞬間、胸の奥がざわついた。
「だから、少しだけ――」
「待って、行かないで」
私は思わず、彼の腕を掴んでいた。