妹に婚約者を奪われましたが、皇太子殿下に一途に愛されています
レイモンドは困ったように笑って言った。

「すぐ戻るから」

そのまま、彼は行ってしまった。

迷いも、ためらいもなく。

ああ、もう……。

じゃあ、私はどうなるのよ。

彼の隣にいるはずの私は、置いてけぼり?

何気なく視線を送った先で、私は見てしまった。

カリーナが、レイモンドと踊っている姿を。

まるで一組の恋人のように、穏やかな音楽の中でステップを踏んでいた。

笑顔を交わしながら、視線を絡めながら。

それは、私がいつも夢見ていた“舞踏会での一幕”だった。

なのに、そこに私はいなかった。
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