恋という呪い
 不意に出た言葉を発してしまった。





「付き合ったことはあるの?」





 これが墓穴だった。

 その人は。
「うん……一度だけね」

 ――と、少し元気なさげに返してくれた。
 でも、俺はその瞬間、やらかしてしまったとすぐに感じた。
 いつでも元気なその人が、俺の一言で元気を失ってしまったのだから。

 すぐに謝った。

「ごめん、変な事聞いた……」って。

 返ってきたのは。

「気にしないで!」

 って、一瞬で元気を取り戻したような声。
 その後、続けて話してくれた。

「ネット歴が浅かった時に、ネット彼氏いたんだよね。ほら、顔見れないからなんか安心しちゃって」

「あぁ、わかるかも、その人の声だけだから、性格だけしか表に出ないもんね」

「うん。でも、付き合っていた時にオフ会をして……その――」

 言葉に詰まったのがすぐに分かった。
 だから食い気味に俺は言った。

「言わなくていいよ! 言うだけでも辛いでしょ……」





 言わせたくなかった。
 聞きたくなかった。
 




「ごめん、ありがとう」





 すこしだけ、安心したような声で、言ってくれた。
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