15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
夕方、空が少しオレンジに染まりはじめた頃。

私は鏡の前で、ベージュのワンピースの裾をそっと整えた。

「これなら……浮かないよね。」

淡い色合いに自然なメイク。少しだけ大人びた自分が、そこに映っていた。

18時ちょうど。都心のビル街に着くと、足が自然に緊張で止まる。

でもその瞬間、スマホが震えた。

《右側向いて。》

「えっ……?」

思わず視線を右に向けると、ビルの端にある花壇。

その縁に、玲央さんが腰かけていた。

ネクタイを少し緩めて、疲れた表情をしている。

でも私を見つけると、すっと手を上げた。

「お仕事、お疲れ様です。」

私が小走りで近づいてそう言うと、玲央さんはひょういと手を振って、少しだけ笑った。

「……ああ。」

たったそれだけの返事なのに、声が耳に届いた瞬間、胸がふわっと熱くなった。

今日は、ちゃんと会えた。それだけで嬉しかった。
< 105 / 297 >

この作品をシェア

pagetop