15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
足音も傘も、やがて病室の静けさに溶けて消えた。

私の胸には、ぽっかりと穴があいたままだった。

――お金目的の犯行。

そう思われたかもしれない。

そうじゃないのに。

本当に、そうじゃないのに。

私はただ、あなたを助けたかっただけだった。

赤信号の中、無防備に立ち尽くしていたあなたを。

グレーのスーツと、青い傘と、

まるで映画の中から抜け出したような、端正な横顔と。

……あの一瞬で、私は確かに、惹かれていた。

なのに、あなたは私の“気持ち”じゃなくて、“立場”しか見てくれなかった。

そしてその人は、翌日も現れた。

まるで、昨日のすれ違いなんてなかったかのように。

「これ、お見舞いの花」

差し出されたのは、小さなブーケだった。

白と淡いピンクの花が、可愛らしくまとまっていて、どこか恋人に贈る花のようにも見えた。
< 13 / 297 >

この作品をシェア

pagetop