15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「……わからなかったの。あの頃、本当に……どっちの子かわからなくて……」

ようやく絞り出された声は震え、涙が頬を伝う。

「あなたと別れた後に、他の人とも……でも、玲音が生まれた時、あなたに似てる気がして……信じたかったの……」

「信じたかった?俺を巻き込んで、勝手に?」

玲央さんの拳が、机の上で小さく震えていた。

静かな怒りと、深い哀しみがそこにはあった。

私は黙って、その場に座っていた。

玲央さんの横顔が、あまりに苦しそうで、何も言えなかった。

玲央さんの心が、砕けていく音が聞こえそうだった。

「……ひよりさん、出ようか。」

海さんの気遣いに、私は小さく頷いた。

でもその時、玲央さんがぽつりと呟いた。

「……あんなに大事にしようと思ったのに。父親として、ちゃんと向き合おうと思ってたのに……全部、嘘だったんだな。」

私の胸が締めつけられた。

彼はただ、真実が欲しかっただけなのに。
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