15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
玲央さんの車に乗り込んだ私は、静かにドアを閉めた。

運転席の玲央さんは、エンジンをかけたまま、アクセルに足を運ぼうとしない。

フロントガラス越しに沈んだ夕暮れが滲んで見える。

ただ、彼の横顔は――深く傷ついていた。

「玲央さん……」

私は、そっと彼の手を取った。

冷たくなったその指先を、自分の手のひらで包み込む。

「私は、玲央さんを裏切ったりしない」

言葉にした瞬間、喉が詰まりそうになった。

どれだけこの人が、信じていたものに裏切られたか。

私には、その苦しみが痛いほど分かった。

だから、私は身体を寄せて、彼の肩に顔を埋めるように抱きしめた。

「あなたに、嘘はつかないから。……私を、信じて」

玲央さんの胸の奥で、張りつめていた何かが、少しだけほぐれたような気がした。

「ひよりさん。」

私の腕の中で、玲央さんがぽつりと呟いた。

その声は、どこか寂しげで頼りなくて――普段の彼とはまるで違っていた。
< 145 / 297 >

この作品をシェア

pagetop