15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「えいっ」と小さく声を出して、私はその扉を押した。

中に入ると、静かな音楽と落ち着いた照明。

グレーのスーツを着た店員さんが、すぐにやってきてにこやかに会釈をした。

「ご覧になりますか?」

「はい、あの……男性へのプレゼントを探していて……」

ふと手に取ったネクタイの値札を見る。

「……っ」

値札に書かれた数字に、思わず声が詰まる。

2万1千円。ネクタイ1本で、私の今月の食費が吹き飛ぶ額だった。

「……ブランド物って、やっぱり高いんですね……」

そっとネクタイを戻しかけたとき、店員さんが優しく声をかけてくれた。

「もし小物がよければ、ネクタイピンなどはいかがでしょうか?」

「ネクタイピン……!」

思いつかなかったその提案に、私はぱっと顔を上げた。

玲央さんはいつも、ネクタイをきちんと締めている。

彼の胸元に、私から贈った小さな輝きがついていたら――
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