15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
ぎゅっと、優しく、でも強く。

「君だって……大切だよ」

耳元で、低く、囁くように響いたその声に、全身が震えた。

張りつめていたものが、するするとほどけていくようだった。

私はただ、彼の胸元に顔を埋めたまま、声も出せずに涙を流していた。

しばらくして、彼はそっと私の肩から手を離した。

ゆっくりと目線を合わせると、まっすぐに言った。

「また来るよ、ひよりさん」

その瞳には、迷いがなかった。

私は涙を拭きながら、かすかに頷いた。

そして玲央さんは、次の日も、そのまた次の日も、欠かさずお見舞いに来てくれた。

手には必ず、小さな花束を持って。

「お忙しいのに……」

遠慮がちにそう言うと、彼は軽く首を振った。

「ああ、いや。時間を取るのも、仕事のひとつだから」

そう言って、いつものように花瓶に水を入れ、ブーケを丁寧に活けてくれる。

手慣れた所作に、最初は驚いたけれど、今ではそれが当たり前のように思えていた。
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