15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
でも、次の瞬間、私はふと視線をふたりに向けた。

誠一も、さくらも。

互いを見ていなかった。

誠一はスマホを弄るふりをしていて、さくらはスープを静かに掬っていた。

何もない。

何も、感じなかった。

あの夜のことを誠一が知っているのか、知らないのか。それはわからない。

でも、少なくとも今のふたりには、もう“恋人同士”としての気配がなかった。

たぶん──この二人の恋は、もう終わったんだ。

それがなぜだとか、どうしてだとか、そんな理由は分からない。

でも、終わるっていうのは、きっとこういうことなんだと思った。

静かに、何も言わず、ただ隣に座っていても心が遠い。

それは、終わりの証だ。

私は黙って、冷めたお味噌汁を口に運んだ。

何も言わず、ただこの空気の重さだけを感じながら。
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