15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「そっか」

玲央さんは、それ以上なにも言わなかった。

責めることも、哀れむこともなく、ただ静かに頷いていた。

私はそっと彼を見上げる。

――こんなに素敵な人が目の前にいるのに。

知的で落ち着いていて、でもどこか寂しげで。

優しさを惜しみなく与えてくれるような人。

きっと、こういう人と恋愛したら、幸せなんだろうな。

そんなことを思ってしまった自分に、ちょっと驚いた。

でも、きっと――私はお子様扱いされて、終わりなんだろう。

相手は一回り以上も年上で、副社長で。

住む世界が違いすぎる。

私は視線を落として、小さく深呼吸をした。

それでも、ほんの少しだけ、胸があたたかくなっていた。

「また来るよ」

そう言って、玲央さんは立ち上がった。

花瓶の花に視線を落とし、最後にもう一度だけ私を見た。

「あっ、もう……大丈夫です」

そう伝えたかった。

本当に、大丈夫だと思っていた。
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