15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
けれど彼は、ふっと微笑んで言った。

「そんな寂しいこと、言わないで」

そして、そっと手を伸ばして、私の頭の上をポンポンと撫でた。

その瞬間、胸の奥が温かくなって、でも同時に、ひどく切なかった。

――こんなふうに触れられたら、もっと好きになってしまう。

そう思った矢先、翌日。

彼は、いつもの時間になっても来なかった。

病室の時計を何度見ても、扉は開かない。

ナースコールの音や足音に、何度も胸を跳ねさせてしまう。

「今日は……きっと、忙しいんだろうな」

口に出してみても、その声は自分に言い聞かせるようで、少し震えていた。

会いたい。

ただそれだけなのに、どうしようもないくらい寂しい。

ひとりの時間が、やけに長く感じる。

「……ううっ」

気づけば、頬を涙がつたっていた。

静かに、止めようもなく。

私は初めて、自分の気持ちに名前をつけた。

――会いたい、玲央さんに。

それはもう、“憧れ”じゃなくて、“恋”だった。
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