15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
お見舞いの時間、終了30分前。

もう今日は来ないかもしれない――そう思いかけていたその時、ドアが開いた。

「ひよりさん、遅くなってごめん」

玲央さんの声だった。

その姿には、いつもの花束がなかった。

「会議が長引いて……その、花も買えなくて……」

息を切らしながら、彼は申し訳なさそうに頭を下げた。

乱れたネクタイ、濡れた髪先、スーツのしわ――どれも、急いできてくれた証拠だった。

その姿を見た瞬間、胸に溜めていた言葉が、ふとこぼれた。

「……会いたかった」

自分でも驚くほど素直な声だった。

飾り気のない、真っ直ぐな気持ち。

玲央さんが、目を見開いた。

そして、ゆっくりと歩み寄ってきた。

「ひよりさん……」

彼は迷うことなく、私を抱きしめてくれた。

胸元に顔を埋めたその瞬間、いつもの香水の香りがふわっと広がる。

その香りだけで、涙があふれそうになった。
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