15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
線が、ゆっくりと浮かび上がってくる。

一本。……だけ。

じわじわと濃くなっていく線を見つめながら、心のどこかでわかっていたはずなのに、涙が出そうになった。

私は検査薬を持って、トイレを出た。

廊下に出ると、玲央さんが壁にもたれながら、静かに待っていてくれた。

「どうだった?」

声は優しくて、でも少しだけ緊張が滲んでいた。

私は、手に持った検査薬を差し出した。

「……できてなかった。」

その瞬間、玲央さんは迷いなく、私をぎゅっと抱きしめてくれた。

肩に置かれた腕の強さが、まるで何かを守るようだった。

「少し、残念だったかも。」

低く呟いた声は、本音だったのだろう。

押しつけるようでもなく、慰めるようでもなく。

ただ私と、同じ未来を見ようとしてくれていたことが伝わってきた。

私はその胸の中で、ようやく力を抜いた。

「……私も、少しだけ、ホッとして……少しだけ、寂しかった。」
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