15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
奥のロビーで、玲央さんがスーツ姿で立っていた。

その姿が、あまりにも“仕事モード”ではなく“男の顔”だったことに、私は一瞬、息を呑んだ。

「よく来てくれたね。」

私が近づくと、玲央さんは優しく笑いかけてくれた。

だけどその声は、いつもより少し低くて、何かを決意したような響きがあった。

「ん……?」

笑顔を返しながらも、胸の奥に不思議な緊張が走る。

「今日は、特別な夜にしよう。」

「……はいっ!」

反射的に答えたけれど、自分の声が少しだけ上ずっていたことに気づく。

そして次の瞬間、玲央さんはスッと手を挙げて、フロントから受け取った部屋のキーを見せた。

そのまま、私の手を引いて、エレベーターへと向かう。

無言のまま、二人で8階へ。

静かに上昇するエレベーターの中、私は無意識に手のひらを握りしめていた。

「……緊張してる?」

玲央さんが笑いながら私を見つめる。

「ううん、ちょっとだけ。」
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