15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
私が小声で聞くと、母はちらりと私を見て、苦笑まじりに言った。

「お父さんがね、見栄張ったのよ。」

「え……お父さんが?」

「『娘が年上の立派な人を連れてくるんだろう?なら、こちらも失礼のないように』って。あの人なりの緊張よ。」

私は思わず吹き出しそうになった。

普段は無頓着なくせに、こういうときだけ妙に張り切る父の姿が目に浮かぶ。

でも、それはつまり──

この出会いを、本気で受け止めてくれているということ。

応接間に戻ると、玲央さんは掛け軸の方に目をやりながら、どこか居心地悪そうに座っていた。

私は隣にそっと腰を下ろして、彼の手にそっと触れる。

「大丈夫。……緊張してるの、うちの家族も一緒だから。」

玲央さんは、ふっと息をつきながら、小さく笑った。

「お父さん、この度はお時間を取って頂き……」

「ゴホンっ!」

玲央さんの丁寧な挨拶が始まるや否や、父がわざとらしく咳ばらいをした。
< 274 / 297 >

この作品をシェア

pagetop