15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
まるで“まだその話は早い”とでも言いたげなタイミング。

「まずは、お茶でも。」

「はい、頂きます。」

玲央さんが差し出された湯飲みにそっと手を添える。

けれど、その指先がわずかに震えているのを、私は見逃さなかった。

……そして、玲央さんだけじゃない。

父の湯飲みを持つ手も、ほんの少し震えていた。

「お父さん、本日はお話があって……」

「ゴホンっ、ゴホンっ。」

再び咳払い。今度はダブルで。

そのままスッと立ち上がると、応接間の床の間に飾られた花瓶を指差した。

「……この花は、山茶花です。冬に咲くけれど、非常に長く持つんですよ。」

ん? 話の流れどこ行った?

父の“もったいぶり”が空回りしていて、私は思わず笑いそうになる。

そして次の瞬間、父はわざとらしく真面目な表情を作りながら言った。

「聞くところによりますと……社長ご一家とのことで。」
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