15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
あれ? 敬語?

父の声が、微妙にかしこまりすぎている。

「はい。一ノ瀬グループの一社に勤めております。私はその副社長をしております。」

玲央さんは、真剣にうなずきながら応える。

その姿はやっぱり“大人の男”で、私はちょっと誇らしくなった。

父の口元がピクッと動いた。

「副社長、とは……すごいですね。」

と言いつつ、声が少し上ずっている。

たぶん、父なりに“相手の器を見極めてやろう”と思っていたのに、思ったより大物が来てしまって焦っているのだ。

そのやりとりを黙って見ていた母が、クスッと笑いながらお茶を足してくれた。

「あら、あなた、肩の力入りすぎじゃない?」

「う、うるさいな……!」

私と玲央さんは、思わず顔を見合わせて小さく笑った。

まだ始まったばかり。

だけどこの空気なら、ちゃんと伝えられる気がする。

“大切にします”という言葉だけじゃない、

本当に信じてもらえるような想いを、きっと──
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